ソビエトと世界革命(その2・完結)

 

ソ連大使ウィリアム・C・ブリットの、1935年7月19日付報告書の翻訳です。

Foreign relations of the United States.... | Hathi Trust Digital Library(p.224~227)
機械翻訳を利用した個人的な訳ですので誤訳によって生じた損害の責めは負いかねます。おおよその内容を把握するためのものとしてご利用ください。

 

 

・・欧州の怨恨の全面的な和解、とりわけドイツとフランスの和解ほど、ソビエト政府が恐れているものはない。とにかくできる限りの会議に出席し首を突っ込もうとのソビエト政府の欲求の手掛かりは、欧州諸国間の実質的な合意を妨げようとの願望にある。この政策の動機は二重である。(a)欧州の和解は、ウクライナを得ることによって、ドイツが必要としている経済的販路を獲得することの許諾に基づくかもしれない、とソビエト連邦は恐れている。(b)共産主義の視点から、欧州における戦争は必然的であり、究極的に願わしいと考えられている。ソビエト連邦は準備ができておらず、今年か来年に欧州戦争が起こると、ドイツ・ポーランド・日本によるソビエト連邦への同時攻撃とともに世界大戦に発展する恐れがあるので、ソビエト政府は現時点で欧州の戦争を恐れている。しかしながら赤軍の準備が整い、ソ連の鉄道が再建されるまで欧州の戦争を延期できれば、ソビエト連邦はそのような戦争に首尾よく介入できるだろうし、戦争と、それに続く欧州諸国での革命の結果として設立される共産党政権を、保護し強化することができるであろう、ということがソビエトの指導者達の確信である。もし欧州が分裂したままであれば確実に来る戦争を、延期し、そして欧州を分裂させたままにしておくことが、ロシアの欧州政策の実体である。

 

この政策に由来する行動の最も顕著な例は、仏ソ相互援助条約の締結であった。ソビエト政府がこの条約の締結を希望する根本的な原因は、フランスがドイツとの和解を歓迎するかもしれないという懸念にあった。フランスとドイツの間の憎しみの炎を明るく燃えるように保つことは、ソビエト連邦の重要な関心事とみなされている。

 

ソビエト政府のただひとつの悪夢は、もちろん、万一日本が極東で攻撃することがあれば、ドイツとポーランドが西方で攻撃するだろうとの恐れである。日本に対するソビエト連邦の政策もまた明確である。彼らは:(1)極東にできるだけ大きく効果的な戦闘力を構築すること。(2)日本に攻撃させないよう最低限の譲歩をすることで、可能な限り長く戦争を避けること。10年以内にソ連は日本よりもはるかに強力になるので、メキシコが米国を攻撃するように、将来ずっと日本はソ連を攻撃することができなくなる、というのがソビエト政府の確信である。けれども極東地域のシベリアが日本の攻撃に対して首尾よく防衛をなしうるかどうか、ソ連の指導者達の内心に少なからぬ疑念があるので、現在、ソビエト領土の割譲を伴わない限りどのような必要な譲歩であっても日本になされるだろう。

 

もちろん、アメリカが日本との戦争に関与するようになることが、ソビエト政府の心からの希望である。もしこのような戦争が起こるならば、ソビエト連邦は紛争の外にとどまり、加えて、西を経由してアメリカに軍需物資を供給し・東に日本に軍需物資を供給することで得られるかもしれない財産を取得することが、ソビエト連邦の政策になるだろう。日本との戦争に備えてソビエト連邦アメリカの有り得べき味方として考えることは、願っていると本当のように思えてくると認めることである。ソビエト連邦は、日本が徹底的に敗北するまで、間違いなく同盟国になることを避けようとするだろうし、そしてその後、単に満州を獲得し、中国を共産化する機会を利用するだけであろう。ソビエトの指導者は日米間の戦争を熱烈に望んでおり、日本が敗北すること、その後で共産党政権が日本に設立されることに決定的な信念がある。そして日本とソビエトが、中国に共産主義を確立するために、うまく手を携えていくであろう。

 

ソビエト連邦にはアメリカの技術的効率性についての偽りない称賛があり、アメリカにおける共産主義運動はまだ全く無力であるという事実を完全に認識している。しかしながらアメリカ国民は、現代機械や現代農業の生産性の問題に対処するため十分な政治的感覚を持たないだろうし、一連の回復と危機の後(訳注:景気の循環を意味しているものと思われる)、アメリカもまた共産主義の「天国」へと落ちる(あるいは昇る)であろう、と思われている。

 

要約すると、ソ連政府の目標は世界革命を生み出すことであり、目標であり続けるであろう。ソビエト連邦の首脳は、この革命の第一歩は、ソ連の防衛的かつ攻撃的な力を強化することでなければならないと考えている。10年内はソビエト連邦の防衛的立場は絶対的に堅固であろうし、15年以内にソ連の攻撃力は欧州に設立されるであろう共産党政権を強化するのに十分になるであろうと彼らは信じている。現在の平和を維持すること、欧州諸国を分断すること、日米間の対立を助長すること、クレムリン共産主義教皇の指示をうけて彼らを自国政府に反抗させるため、あらゆる国の共産主義者の盲目的な献身と服従を得ること、はスターリンの政策の総体である。

 

敬具 William C. Bullitt