予備交渉と三つの課題

 

Pearl Harbor. Intercepted diplomatic messages sent by the Japanese government between July 1 and December 8, 1941.

p.25-29 からの翻訳です。

機械翻訳を利用した個人的な訳ですので誤訳によって生じた損害の責めは負いかねます。おおよその内容を把握するためのものとしてご利用ください。

 

 

From: Tokyo
To: Washington
September 4, 1941
#528 (Part 1 of 2.)

 

1. 米国政府が日米首脳会談の予備交渉として提案したものは、過去の非公式協議で議論された、自衛の問題、日本軍による中国占領の問題、貿易の平等待遇の問題であった。特に近衛首相のメッセージの漏洩以来、最近の日本の状況は、会議をできるだけ早く開催し、それによって日米関係を調整することが急務となっているのが実際である。
しかしながら、これまでのように、我々が、前述した三つの未解決の問題の法律的見地だけを議論し続けたとすれば、あなたが示唆したように、九月の末までに準備を整えることは不可能だと思われる。さらに、7月24日・(8月?)17日に米国政府から我々に伝えられたことに関しては、すでに我々の見解を表明しているほか、首相のメッセージを送った。この問題についてはこれ以上述べることはないので、まず電信 #529 で示した我が国の立場を表明した上、両国首脳が事前に・大筋で合意できる点を見極めたのち、これらの点について議論するための会議を開催し、最後に共同声明(準備ができ次第、電報を送る)を発して、両国間のより有益な雰囲気作りを促進する、と決定した

 

 

From: Tokyo
To: Washington
September 4, 1941.
#528 (Part 2 of 2.)

 

そこで4日の午後四時半、私を訪ねてくるようグルー大使に依頼し、大使が到着してすぐ、別の電報に書かれている内容を大使に伝えた。それを踏まえて、国務長官にも同様に伝えてくれ給え。
2. 特別な説明を必要とする別電の要点は次のとおり。
(これは、両国の首脳陣にり、本日の会議の間に約束された。秘密協定の形式をとるべきか通常協定の形式をとるべきかについては、会議主席者の裁量に委ねられる。)
(1) 我々は、日本がなしてきた誓約それぞれの事柄、特に三国同盟に関する日本の立場が、米国政府の承認を得るものと期待する。
(2) 両国の資産凍結命令の撤回については、米国の凍結措置が日本に損害を与えたという印象を与えることを、あなたは避けるべきである。
(a) この措置の〇〇〇が技術的かつ複雑で、さらには、中途の段階だとすれば、それが一般人には理解されないであろうとの事実を説明し給え。
(b) 米国が採ったこの措置が、仏領インドシナを日本が占領したことに対する懲罰であるとの印象を日本国民に与えたという事実を説明し給え。
(c) その劇的な側面を副次的なものと考え、日本がここにおいてなした誓約の重要性に鑑み、米国政府内で起こりうる強い反対を克服してでも、米国は日本の決定に報いなければならないと強調して提案し給え。これらの命令が取り下げられる時に関して「即座に」という用語は、前記 (1) に掲げる事項について主な出席者が合意に達した時、を意味する。
(3) 軍事的措置をやめるということは、例えば、潜水艦や航空機のフィリピンへの派遣をやめ、太平洋南西地域・中国・極東ロシアでの軍事基地取得をやめることを意味する。

 

 

 [訳注] 別電の日本側提案

インターネット特別展 公文書に見る日米交渉 より

 

(1)日本は以下の諸項を約諾する

(イ)日米の予備的非公式会談ですでに日米合意を得た事項については日本も同意すること
(ロ)仏領インドシナを基地にして近接地域に武力進出をしないこと、北方(ソ連)に対しても同様に理由なく武力進出をしないこと
(ハ)日米の対ヨーロッパ戦争に対する態度は防護と自衛の観念によって決定されること、アメリカのヨーロッパ戦争参戦の場合、日独伊三国同盟に対する日本の解釈及び実行は自主的に行なわれること
(ニ)日本には、日中間の全面的関係回復を努めて実現し、その実現の際には日中間の協定にしたがって中国からできる限り速やかに撤兵する準備があること
(ホ)中国大陸におけるアメリカの経済活動は公正な態度で行なわれる限り、制限されることはないこと
(ヘ)南西太平洋地域における日本の活動は平和的手段によること、国際通商関係における無差別(平等)待遇の原則にしたがって行なわれること、アメリカが必要とする南西太平洋地域の天然資源獲得に協力すること
(ト)日本政府は、日米間に正常な通商関係を回復するのに必要な措置を講ずること、これに関連して日米両国が相互に「レシプロケート」(返礼する、報いる)すべきことを条件として、資産凍結令撤廃を直ちに実施すべきこと
(2)アメリカは以下の諸項を約諾する

(イ)日本側条項の(ニ)に挙げた日本の約諾に関して、アメリカは日本の中国に関する努力に支障を与えるような措置及び行動はしないこと
(ロ)日本側条項の(ヘ)に挙げた日本の約諾にアメリカは「レシプロケート」(報いる)すべきこと。
(ハ)極東及び南西太平洋地域における軍事措置を停止すること
(ニ)日本側条項の(ト)に挙げた日本の約諾に「レシプロケート」し(報い)、日本に対する資産凍結令を直ちに撤廃し、日本船舶に対するパナマ運河通行禁止も解除すること

 

 

 

From: Washington.
To: Tokyo.
15 September 1941
#819 (In 3 parts, complete).
Re your 561 to 563.

 

我々に思い浮かんだ点をここに。
(1) 大統領がワシントンに居る限り、我々がハル長官に述べたことはすべて、必ずや大統領に伝えられると理解すべきである。事前協議の問題は、大統領からハル長官に一任されているようであり、実際、私と長官が解決できなければ、誰が会談をおこなおうとも解決されないだろうと、長官は述べた。ハル自身、過去八年の間、彼と大統領は外交政策について一度も意見を異にしたことがないし、彼らは「二人で一人」のようだと語った。
(2) 「共産主義その他の破壊活動」という表現は彼らの注意を喚起するだろうし、「中国における共通の防衛」という言葉は疑問を生じさせるであろう一方、「協定」はそれが具体的条件において何を意味するのかにつきなお疑問を残すだろう。
(3) 米国は、日中間の講和条件を知らせてほしいと示唆するとともに、その条件が公正かつ適切なものでない限り、和平交渉の仲介を拒否する姿勢を示している。そのような状況の下、我々が講和条件の概説を回避した場合、米国は講和会議の推進に同意しないであろう、と私は確信している。

(4)(5)(6) 省略

 

 

From: Washington (Nomura)
To: Tokyo (Gaimudaijin)
17 September, 1941
#823 (Parts 1 and 2 of 3)

 

(1) 8月6日、私はホワイトハウスで、三つの主要点のうちの二つについては大体において合意に達したと述べた。我が軍の撤退に関しては、合意に達することができると確信しているからこそ、首相が会議に出席する用意があるとの私見を表明した。その時、国務長官は、明確化かつ「刷新」されねばならぬ点が他にも二~三あると述べた。そう言ったとき、彼は、6月24日の我々の提案に言及していた。
7月24日のあなたの電信 #397 に記載されている指示は承知しているけれども、その頃に交渉が決裂したため、7月15日のあなたの指示はどうすることもできなかった。決裂は続き、最近のメッセージが送られて初めて交渉が再開された。
(2) 6月24日に語句で表現され提案書として提出された「了解」は、あなたの5月11日の指示に従って、私と国務長官との間の十数回に及んだ会談の集大成であった。長官が健康のために旅行に出発する直前まで二人は会議をおこなった。長官は何か月もの間、それに懸命に取り組んできたので、提案にかなりの思い入れがあることは当然だ。

私の意見では、その提案に含まれている全体的な方針に従えば、アメリカが予備交渉で合意に達する可能性が高い。交渉は当地で催されるとハルは主張する。

 

 

From: Washington (Nomura)
To: Tokyo (Gaimudaijin)
17 September, 1941
#823 (Part 3 of 3)

上記の事実を考慮すると、9月4日の我々の提案だけに則って、予備交渉を取り纏めることができるかどうか疑わしいと思われる。いずれにせよ、この三つの点、とりわけ部隊の駐屯の問題について、双方が受け入れ可能な条件を見つけることが我々の第一の課題である。

いつもの情報筋によると、先週金曜日に当地で催された閣議の雰囲気は、日米会談の期待感を大いに示していた。事前の取り決めが成立すれば大統領が会議に出席する用意があることは間違いない。

西山(財務担当)が言うには、彼に親しい友人の大使が語るところによると、ハルは、その友人に、大統領は「遠くに行き過ぎた」と語った。