グルーから国務省。1935年(その2・完結)

 

機械翻訳を利用した個人的な訳ですので誤訳によって生じた損害の責めは負いかねます。おおよその内容を把握するためのものとしてご利用ください。

Foreign relations of the United States. Diplomatic papers. 1935.V.3. p.109~

 

 

これらいくぶん根拠の弱い証拠よりも、日本に関するソビエト当局者の公的声明の著しい変化は、より重要な証拠であり続けてきた。モロトフやヴァシーリー・ブリュヘルが日本を激しく非難してから一年しか経っていない。東清鉄道の交渉が、戦争下にない国々であれば滅多に用いない罵倒合戦に変質してから、わずか半年しか経っていない。けれども現在では、リトビノフは鉄道交渉の成功を好意的に歓迎し、ほかの諸問題の交渉を心待ちにしており、アムール国境の武装解除について合意に達するかもしれないとほのめかしている。鉄道交渉の最後にリトビノフは広田に電報を打った。


「両国間の紛争および誤解の原因を除去し、両国の利益と普遍的平和に向けて真の友好的な関係を強化するため、我々は更なる実りある協力を継続するものと確信する」


東京に届いた報道を信じてもよいのであれば、イズベスチヤ紙などソ連の新聞は概して、鉄道譲渡のニュースを目立って日本に好意的な調子で歓迎した。そして最後に、私のスタッフと対談したソ連大使館のさまざまな人々は、他の問題の解決が容易になるだろうという楽観論をふんだんに述べた。確かに彼らの楽観主義は意図的なものかもしれないが、それでもなお未解決の問題を外交的手段によって解決するとのソビエトの決意を示している。

 

極東の権益を確保するためのソ連の他のアプローチに関しては、英国とソ連が極東における何らかの集団安全保障の可能性を模索しているとの報告をまだ確認できていない。それにもかかわらず、そのような措置は英国とソ連の極東の利益を守るための論理的な措置になるであろう。

 

ここまで、バランスオブパワーが日本に有利に変化したことを見てきたと同時に、ソ連外交に期待される二つの一般的な方向性について言及してきた。しかしながら、ここ日本では、これらの新たな展開に対する日本の反応を、我々は主に懸念している。ソビエトロシアとの和解に向けた日本の対応はどうなるのだろうか?日本は、その固有の責任と考えてきた、「東アジアの平和」を確保するための集団的努力に対して、どのような態度を示すのであろうか?

 

ひとつ目の質問については、広田氏はこの二週間、未解決の問題を外交交渉を通じてひとつひとつ解決してゆく彼の方針を、繰り返し再確認してきた。彼はリトビノフ氏からの電報に誠意のこもった言葉で返答する中でそのようにした。彼は鉄道の譲渡に引き続いて催された様々なディナーや式典でそのようにした。同じ意味で国会に報告してきた。東清鉄道の問題における調停の成功によって広田氏の名声は高まったのだから、調停政策を実行するために彼は以前よりもより良い地位にあるべきである。したがって、日ソ関係の次の章においては、前述した多数の問題についての外交的手段を通じた解決を見るとの有望な見込みがあるように思われる。同時に、ソ連は極東の赤軍の少なくとも一部を欧州に移動させなければならないかもしれないという期待を、ドイツの再軍備が日本に呼び起こしたことにも言及せねばならぬ。これは日本の好戦的な愛国主義者に影響を与えてソ連との協調に反対させるかもしれない。

 

極東安全保障条約に関する噂について、4月1日の外務省報道官の発言は重要である。ソ連が不可侵条約に向けて新たな提案をしたこと、アムール辺境の武装解除のための公式交渉が開始されたことを否定した後、彼は自主的にヨーロッパの情勢が極東に及ぼす影響について言及した。日本の死活的利益は東アジアに限定されており、東アジアにおいて欧米列強の利益は死活的ではないとする説を述べた。さらに極東におけるソ連の利益の死活性についても疑問を呈した。彼は、世界各地でそれぞれの地域の平和を維持する傾向が強まっていると表明した。欧州が維持する欧州の平和、アメリカが維持するアメリカの平和、アジアが維持するアジアの平和。「日本は東アジアの平和に責任がある」との天羽氏らが宣言する命題を考えると、彼の陳述は、日本は極東の集団安全保障体制の交渉に好意的でないという、薄く覆われた[見え透いた]宣言に等しい。実際のところ、天羽氏の発言は、しばしば広田氏よりも政府内の好戦的な愛国主義者の意見を反映するけれども、全体としての日本国が、東アジアを自ら・自らのために可能な限りコントロールしようとしており、その結果、安全保障条約の性質を帯びた、日本の活動を制限しようとする試みに反対する傾向にあることを疑う理由はほとんどない。

 

結論として、広い意味において、アジアにおける出来事は、欧州政治の現在の流動的な状態の具体化を再び待つと言えよう。欧州では不確実性が蔓延しており、ソ連や西側諸国の極東政策は、依然として具体化していないはずだ。これは日本の特許品[特権]だ。一方、ソ連については、再び調停政策が必要な政策として迫っているといえよう。ソ連にとって幸運なことに、政治的に主要な問題、満州利権の清算が解決された。さらに幸運なことに、日本の最も重要な利益は、ソ連領にではなく満州と中国とにある。


これらのことを考慮すると、東清鉄道の譲渡で締めくくられた章よりも日本にとっては重要性が低いのであるから、日ソ関係の次の章は、それほど重大にはならないであろうと結論付けることができよう。

 

状況を慎重に検討した上で以上の見解を提出するのではあるが、日本においては軍が、自主的に、思い切った行動を繰り返してきたことを想起することが常に賢明であると考える。したがって、満州国境に沿った扇情的な事件が深刻な紛糾を引き起こす可能性は、現在のところ起こりそうにないと思われるが、常に残っている。

 

敬具 Joseph C. Grew