私は第二次世界大戦、およびそれに至るまでの歴史に関心を持っていると自負しておりますけれども、格別、読書量が多いわけではないことも事実です(amazonの「欲しいものリスト」に登録しつつも購入に至っていない書籍の数は膨大です)。それでもなお「平均的な方々」よりは第二次大戦に関する書籍を読んでいることだろうとの思い上がりから、本記事を作成することにしました。まったく当てにならない書籍紹介(プラスおまけ)ですけれども、もし何らかの参考になりましたら望外の幸せです。
『裏口からの参戦 : ルーズベルト外交の正体1933-1941』
チャールズ・カラン・タンシル (著)
第二次世界大戦の背景を探るうえで私にとって最良の一冊でした。本著はドイツ・イタリア・日本が戦争に至るまでの背景を三国分けて描写しています。「裏切られた自由」よりもストーリー性があり、脚注もしっかりしています。日本に関する記述はすらすら読めたのですが、私に前提知識が欠けていたため、ドイツ・イタリアに関する記述は一読しただけでは消化しきれませんでした。換言すれば、私個人にとっては、本書は新たな・知らない情報の宝庫でした。やや高価であることが本書の唯一の欠点であろうと思われます。
『裏切られた自由 : フーバー大統領が語る第二次世界大戦の隠された歴史とその後遺症』
ハーバート・フーバー (著)
本書も格別重要な一冊でしょう。編者:ジョージ・ナッシュ氏の序文にあるとおり「フーバーは自身の意見を原稿から外した。(中略) 意見ではなく当時の指導者自身の言葉や行為を示すことにした」ため、優れて客観的である反面、ストーリー性に欠けていることは否めないと思われます。読了後、当時を生きたフーバー氏の"言葉"をもっと聞いてみたかったと私には感じられました。脚注が極めて充実しているので本書の描写を超えて情報を集めることもできるでしょう。もう少し安価に入手できるのであれば、よりお勧めできるのですけれども。
『ルーズベルトの開戦責任』
ハミルトン・フィッシュ (著)
学術書的な上記二冊とは異なり、どちらかというと本書は著者の経験・意見で構成されているので、比較的読みやすいことでしょう。WW2の背景に関する興味深い記述が溢れているにも関わらず、文庫版が出版されておりコストパフォーマンスに優れた一冊です。
『ルーズベルト秘録』
本書は主に、WW2当時の米政府高官らの手記・回顧録・日記等で構成されています。したがって「回顧録には確かにそのように書かれているのだろうけれども、鵜呑みにして良いのだろうか?」と疑問を感じるような記述がいくらか混じっているようにも感じられます。ですが興味深い記述がそれ以上に多く含まれていることでしょう。本記事の作成時点ではamazon等で中古品を安価に購入できます。
『満州国は日本の植民地ではなかった』
黄 文雄 (著)
本書は明らかに脚注(出典)が少なく、そのため記述の確からしさの点で見劣りすることは否めないでしょう。とはいえ現在までに私個人が入手したいくつかの情報と、本書の記述の一部とが一致していることも確かです。そのような弱点があるものの興味深い記述が複数含まれており、本記事作成時点で中古品を安価に購入できる点を加味して本書をお勧めします。
『歴史問題の正解』
有馬 哲夫 (著)
本書を一言で述べると、著者の自説を羅列した本です。反対説の検討が少なく記述が簡潔なため、読みやすい反面、著者の論述の確からしさに一抹の不安を感じざるを得ません。それでも私が本書をお勧めする理由は、その注釈(引用)の充実にあります。巻末を見ると William D. Leahy Papers や Henly L. Stimson Diaries などの文字列が。文庫(新書)とは思えないような引用が多々ありますので歴史好きには興味深い一冊ではなかろうかと思われます。
おまけ
オンラインで無料で入手できる、ブログ主が興味深く読んだWW2関連の論文を紹介します。
経済封鎖から見た太平洋戦争開戦の経緯
―経済制裁との相違を中心にして―
高橋文雄
http://www.nids.mod.go.jp/publication/senshi/pdf/201103/05.pdf
日中戦争期の中国におけるドイツ軍事顧問
フライブルク大学教授 ベルント・マーチン (進藤裕之訳)
http://www.nids.mod.go.jp/publication/senshi/pdf/200103/10.pdf
現代世界経済秩序の形成とアメリカ海軍の役割 : 世界史の全体構図から見た「太平洋戦争」の歴史的意味とその教訓
鹿野忠生・橋本金平
第5章 真珠湾―アメリカにとっての「戦争突入への最善の方法」
https://home.hiroshima-u.ac.jp/~heiwa/Pub/33/Part2-3.pdf